介護施設の選び方|失敗しないチェックポイント5選

「自宅での介護に限界を感じてきた」
「そろそろ施設を考えるべきかも」
そんな思いが浮かんだときに迷うのが「どんな施設を選べばいいのか」ということではないでしょうか?施設の種類や特徴はさまざまで、選び方次第で入居後の満足度も大きく変わります。
本記事では、介護施設選びで後悔しないためのチェックポイントを5つに絞って、わかりやすく解説します。ご家族にとって納得のいく選択ができるよう、ぜひ参考にしてください。
介護施設の種類と特徴を知るのが第一歩
介護施設を選ぶ上で、まず理解しておきたいのが「施設の種類」です。大きくは公的施設と民間施設に分かれ、それぞれ費用やサービス内容、入所条件に違いがあります。
ここでは、代表的な8つの施設についてご紹介します。
- 1. 特別養護老人ホーム(特養)
2. 介護老人保健施設(老健)
3. ケアハウス(軽費老人ホーム)
4. 介護医療院
5. 介護付き有料老人ホーム
6. 住宅型有料老人ホーム
7. グループホーム
8. サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)
それぞれ、詳しくみていきましょう。
なお、入居条件や費用、サービス内容などは施設によって異なる場合がありますので、詳細については各施設や自治体の窓口に直接お問い合わせいただくことをおすすめします。
1.特別養護老人ホーム(特養)
特別養護老人ホーム(特養)は、要介護3以上の高齢者が対象の公的施設で、長期的な生活支援を提供します。費用は比較的低廉ですが、入居待機者が多く、すぐに入居できない場合があります。
また、医療体制は限定的で、日常的な医療ケアが必要な方には不向きです。
運営 | 公的施設 |
入居対象 | 要介護3以上(特例で要介護1・2も可) |
費用相場 | 月額7〜15万円程度 |
2.介護老人保健施設(老健)
介護老人保健施設(老健)は、在宅復帰を目指す要介護者に対して、リハビリや医療・看護を提供する中間施設です。
入所期間は原則3〜6ヶ月で、医師や看護師が常駐し、医療ケアが充実しています。ただし、長期入所には向いていません。
運営 | 公的施設 |
入居対象 | 要介護1以上 |
費用相場 | 月額8〜15万円程度 |
3.ケアハウス(軽費老人ホーム)
ケアハウスは、自立した高齢者や要介護者が入居できる公的施設で、食事や生活支援サービスを提供します。
一般型と介護型があり、介護型では施設内で介護サービスを受けることができます。費用は比較的低廉で、生活支援が中心です。
運営 | 公的施設 |
入居対象 | 一般型:自立介護型:要介護1以上 |
費用相場 | 月額7〜20万円程度 |
4.介護医療院
介護医療院は、長期的な医療ケアが必要な要介護者のための施設で、医師や看護師が常駐し、医療と介護の両面から支援を行います。看取りやターミナルケアにも対応しており、終の住処として利用されることもあります。
運営 | 公的施設 |
入居対象 | 要介護1以上で医療依存度の高い方 |
費用相場 | 月額10〜20万円程度 |
5.介護付き有料老人ホーム
介護付き有料老人ホームは、介護サービスがセットになった民間施設で、手厚いケアが魅力です。費用は施設によって異なり、高額なところもありますが、入居金不要や月額負担が抑えられたプランも増えています。
運営 | 民間施設 |
入居対象 | 要支援・要介護の高齢者 |
費用相場 | 入居時費用:0〜数千万円月額:15〜40万円 |
6.住宅型有料老人ホーム
住宅型有料老人ホームは、生活支援を中心とした民間の高齢者施設です。介護が必要になった場合は、外部の介護サービスを契約して利用する仕組みになっています。自立度の高い方に向いており、自由度の高い暮らしができるのが特徴です。
運営 | 民間施設 |
入居対象 | 自立〜要介護 |
費用相場 | 月額15〜35万円程度 |
7.グループホーム
グループホームは、認知症の高齢者が5〜9人程度の少人数で共同生活を送る施設です。家庭的な雰囲気の中で、認知症ケアに精通したスタッフが24時間対応します。地域密着型サービスのため、施設と同一市区町村内に住民票が必要です。
運営 | 民間施設 |
入居対象 | 認知症のある要支援2〜要介護5 |
費用相場 | 月額15〜30万円程度 |
8.サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)
サ高住は、バリアフリー設計の賃貸住宅に見守りや生活支援サービスが付いた施設です。自立〜軽度の要介護者が対象で、自由度が高く、プライバシーも確保されています。介護が必要な場合は、外部の訪問介護サービスを契約して受ける形式です。
運営 | 民間施設 |
入居対象 | 自立〜要介護 |
費用相場 | 月額10〜25万円程度 |
介護施設選びで失敗しないためのチェックポイント5選
パンフレットの印象や立地の良さだけで介護施設を決めてしまうと、入居後に「思っていたのと違った…」と後悔することにもなりかねません。
そこで、施設選びで失敗しないために、事前に確認しておきたい5つのチェックポイントをわかりやすくご紹介します。
チェック①:本人の状態に合ったサービスか?
まず大前提として確認したいのは、「入居者本人の状態」に施設がしっかり対応できるかどうかです。高齢者の身体状態や認知症の有無、介護度、持病などによって、必要な支援内容は大きく異なります。
施設のケア体制・医療連携に関するチェックポイント
スタッフ体制 | |
医療支援・連携体制 | |
ケア・サービスの内容 |
たとえば、要介護5で褥瘡(床ずれ)のケアが必要な方の場合、看護師が日中常駐していて医師との連携がしっかりしている介護医療院や介護付き有料老人ホームが適している可能性があります。
また、施設選びでは「今」の状態だけでなく「数年後にどうなるか?」という将来像を見据えた判断が重要です。
チェック②:生活環境や雰囲気
施設選びにおいて、建物の清潔感や暮らしやすさ、日常の雰囲気も重要な判断材料です。とくに注目したいポイントは、以下のとおりです。
居室の広さ・清潔感 | |
共用スペースの使いやすさ・雰囲気 | |
レクリエーションや日中の過ごし方 | |
施設全体の雰囲気 |
施設の「暮らしの雰囲気」は、パンフレットやホームページの写真だけではなかなか伝わってきません。見学の際は実際に足を運び、入居者の様子やスタッフとのやり取りなどを自分の目で確かめることが大切です。
なお、見学のタイミングは「日中の活動時間帯」がおすすめです。見学時に「ここで自分の家族が寝起きする姿」を具体的にイメージしてみましょう。
チェック③:立地・アクセスの利便性
施設の場所選びは、入居者本人だけでなく、ご家族にとっても大きな意味を持つポイントです。入居後の面会や付き添い、外出の機会など、施設との距離が生活の質や家族関係にも影響してきます。
家族が訪問しやすい場所か | |
周辺環境の利便性 |
家族が無理なく顔を見せられる距離感は「施設に預けることへの罪悪感」や、入居者の孤立感を和らげるうえでも大切です。
また、介護施設は単なる「預け先」ではなく、日々を過ごす「暮らしの場」でもあります。本人が気軽に外出できたり、気分転換しやすい環境かどうかも、チェックしておきたいポイントです。
チェック④:費用の内訳とコスパ
施設を選ぶうえで、費用の確認は欠かせません。ただし、「高ければ安心」「安いから不安」といったイメージだけで判断してしまうのは注意が必要です。
大切なのは、どの項目にどれだけ費用がかかるのか、その内訳をしっかり把握することです。
たとえば、費用面で確認すべきなのは「月額費用」だけではありません。入居時にかかる初期費用や、おむつ代・医療処置費・理美容代などの追加費用も含めた、全体のコストを見ておく必要があります。
最近は入居一時金が不要な施設も増えていますが、数百万円〜数千万円が必要な場合もあり、内容に大きな差があります。
契約前には「重要事項説明書」で費用の詳細や追加料金の条件を確認し、疑問点があれば遠慮せず質問をしましょう。納得して選ぶことが、安心と満足につながります。
チェック⑤:入居条件・退去条件
施設選びでは、入居時の条件や将来的な退去条件も事前に確認しておくことが大切です。
たとえば、要介護度や認知症の有無、医療的ケアの必要性によっては、入居できる施設が限られる場合があります。
また、サービス付き高齢者向け住宅や住宅型有料老人ホームでは、介護度が重くなると「施設での対応が難しい」と判断され、転居を求められることもあります。
さらに、本人や家族が希望しても、医療的な対応が困難になるケースや、施設のルールに違反した場合などに退去を求められるケースもあります。そのため、契約前に「入居条件」「退去条件」「契約解除の規定」などをしっかり確認しておきましょう。
【まとめ】後悔しない施設選びのために、まずは情報収集と見学から
介護施設選びで後悔しないためには、種類や特徴を知るだけでなく「自分たちに合った施設はどこか?」を見極めることが大切です。
費用やサービス内容、雰囲気などを総合的に判断するには、事前の情報収集と実際の見学が欠かせません。まずは気になる施設をいくつかピックアップし、しっかり比較するところから始めてみてはいかがでしょう。